IOCのジョン・コーツ副会長は「緊急事態宣言下であってもなくても、安全かつ安心な大会が開催できるアドバイスを(世界保健機関などから)頂いている」と述べ、緊急事態宣言が出ていても大会は開催できるとの認識を示したそうです。

 民法には「履行不能」という概念があります。これは、契約内容を実現することができないことを指します。そして、大地震等のやむを得ない理由(不可抗力)から履行不能となった場合には、契約を守ることができなくても責任を負わされることはありません。例えば、売る約束をした品物が、不可抗力で全部壊れて引き渡しできなくなった場合、すでに受け取っていた代金を返さなければいけなかったり、代金をもらえなくなったりする可能性が高いですが、それ以上の責任は生じません。

 しかし、履行可能な場合に契約を守らないと、故意に(わざと)契約を破ったことになり、様々な責任(例えば慰謝料や転売利益の補償など)が生じかねません。

 私は、「緊急事態宣言下でも東京五輪は可能である。日本が中止した場合には、故意に(わざと)約束を破ったことになり、全責任は日本が負うことになる」とIOCは釘を刺しているのだと感じました。IOCからすると、日本の状態は緊急事態を宣言するほど悪くはないのでしょうか。それとも、五輪は緊急事態下でも行うべきものなのでしょうか。

 また、IOCのバッハ会長は「大会が可能となるのは、日本の粘り強さという精神があるからだ」と述べたそうです。これも、私には「粘り強さの精神を発揮させて大会を開催すべきだ」と言っているように聞こえました。

 日本政府は、IOCと同じ感覚なのでしょうか。

 皆さんは、どのように感じられましたか。